背骨の筋肉は一つじゃない
背骨を立たす筋肉・脊柱起立筋
背中の真中に出ている骨があります。
一般に背骨と言われる部分は、脊椎(椎骨)の棘突起と言われる部分です。
この脊椎を立てて起こす筋肉を脊柱起立筋といいます。
そのまんまですね。
脊柱起立筋は複数の筋肉の集まりの総称で、大きく外側の腸肋筋、最長筋、棘筋に分かれて、
その他にも棘間筋、半棘筋、多裂筋、板状筋、後頭直筋、頭斜筋なども含まれます。
脊柱起立筋の特徴
最長筋などというと長い筋肉のようですが小さな筋肉の集合体です。
腰部、胸部、頚部、頭部など脊柱と同じように、
上中下とわかれて最長筋も胸最長筋、頚最長筋、頭最長筋に分かれています。
脊柱起立筋は重力に抗する動きで使われるために「抗重力筋」に含まれて、
拮抗筋は腹部の腹直筋(非拮抗筋)になります。
立つ状態・座っている状態で使用されるので、日常的に大変良く使われる持久力のある筋肉です。
年齢とともに背中が丸くなると、この脊柱起立筋が伸ばされて、
力が入りにくくなってしまうので整体ではとても重要視しする筋肉です。
猫背矯正の時もしますが、歪み上がる場合でも上から背骨に沿って撫で下ろすように伸ばしていきます。
身体の軸を作り出す筋肉ですので、必ず整体の際にチェックして調整しています。
各筋肉分類
画像は肉単
①頚腸肋筋:もっとも外側にある腸肋筋群の一番上。首の伸展・側屈。
②胸腸肋筋:腸肋筋の胸部。胸椎の伸展・側屈。脊柱に付着しない脊柱起立筋。
③腰腸肋筋:腸肋筋の一番下。骨盤の仙骨などから出る。胸椎の伸展・側屈。
④頭最長筋:最長筋で一番上。頭部につく。頸椎の伸展・側屈・回旋。
⑤頚最長筋:最長筋の上部胸椎から始まり、頸椎のC2~C6につく。
頚椎胸椎伸展、頸椎の側屈。
⑥胸最長筋:最長筋の下部の筋肉。骨盤の仙骨と腰椎の棘突起・横突起から始まり、腰椎胸椎肋骨に付く。
胸椎腰椎の伸展・側屈。
⑦頚棘筋:最長筋の深層にあり、最も内側にあり細い筋肉。
頚椎伸展側屈。
⑧胸棘筋:棘突起に付着して頸椎腰椎を伸展。
⑨回旋筋:棘筋同様、脊柱周りで最も深層につく筋肉。
のこぎりの歯みたいにギザギザに付く小さい筋肉の集まり。
短回旋筋は横突起から一つ上の棘突起につき、
長回旋筋は横突起から2つ上の棘突起につき、
脊柱の回旋・伸展補助する。
⑩多裂筋:回旋筋を覆う深層の筋肉。
脊柱を動かしもするが、椎骨(体幹)を安定させるインナーマッスル。
頸椎から骨盤まで伸びるので、
頚多裂筋・胸多裂筋・腰多裂筋にわかれそれぞれ少し役割が違うが、
主に、脊柱の安定固定・伸展・回旋をする。
⑪頭半棘筋:始まり(起始)はC3からTH7で、停止は後頭骨上項線と下項線の間。
頸椎の伸展・側屈・回旋。
⑫頚半棘筋:起始はTH1からTH6で停止はC2からC6の棘突起。
脊柱の安定、胸椎頸椎の伸展・側屈・回旋。
⑬胸半棘筋:半棘筋で一番長い筋肉。
⑭上後鋸筋:僧帽筋に覆われている筋肉で、息を吸うときに第二肋骨から第五肋骨を引き上げる呼吸筋。
⑮下後鋸筋:広背筋に覆われている筋肉で、息を吐くときに第9肋骨から第12肋骨を内側に引き下げる呼吸筋。
⑯前斜角筋:頸椎の前面から第一肋骨につき、、息を吸うときに肋骨を引き上げる呼吸筋。
⑰中斜角筋:前斜角筋と同じ呼吸筋で、頸椎の横から第一肋骨につく。
⑱後斜角筋:息を吸う時に胸郭を広げて、肋骨を引き上げる呼吸筋で、C567から第二肋骨か第3肋骨につく。
⑲頭板状筋:僧帽筋の内側にある筋肉で、頸椎の伸展・回旋・側屈。
⑳頚板状筋:頭板状筋のやや前にあり、頸椎の伸展・側屈・回旋。
参考文献:プロが教える筋肉のしくみ・はたらきパーフェクト事典(石井直方監修・荒川裕志著 ナツメ社)
肉単 (河合良訓監修・原島広至著 NTS)
解剖学イラスト事典 松村譲兒著 中外医学社